♦15 道の駅 象潟(秋田県にかほ市)

♦となりの建築

秋田県の日本海側の南端、にかほ市。
2005年(平成17年)に仁賀保町(にかほまち)、金浦町(このうらまち)、象潟町(きさかたまち)が合併して誕生しました。
にかほ市 象潟町に、多くの人で賑わう、道の駅があります。

1 道の駅 象潟「ねむの丘」

道の駅 象潟(きさかた)は、秋田県にかほ市象潟町にある、国道7号沿いの道の駅です。
「ねむの丘」というのは、中核となる建物の愛称です。

ネムノキ(合歓木)は、にかほ市でよく見かける、にかほ市を象徴する花木。
松尾芭蕉の句にも詠まれていて、その花は、市の花になっています。

道の駅 象潟は、1998年(平成10年)に、東北で58番目、秋田県内で11番目の道の駅としてオープンしました。

広大な敷地の中に、トイレや休憩施設はもちろん、日本海を眺めながら入浴できる、展望温泉施設も整備されています。

2015年(平成27年)1月には、国土交通省から重点「道の駅」に選定されています。

重点「道の駅」というのは、地方創生の核となるような、特に優れた企画を持つ施設を、国土交通大臣が選定するもので、交付金などで、手厚い支援を受けられる仕組みになっています。

(因みに、もうワンランク上に、全国モデル「道の駅」というカテゴリーがあります。)

このような支援の中で、2016年(平成28年)4月、同じ敷地の中に市の観光拠点センター「にかほっと」が、オープンしました。秋田杉の温もりを活かした、気持ちの良い施設となっています。

農林水産物などの飲食コーナーの他、併せて、無料の足湯(あしほっと)も整備されました。

この観光拠点センターの中に、にかほ市観光協会も入りました。
鳥海山・飛島ジオパーク推進協議会も、この「にかほっと」の中で活動を行っています。

■にかほ市拠点交流センター「にかほっと」

■「にかほっと」と中核施設「ねむの丘」

■中核施設「ねむの丘」内部

■二階から物産館方向を見下ろす

■中核施設内「物産館」

■新設された足湯「あしほっと」

■「あしほっと」内部

■気持ちのよい広い空間

2 九十九島とジオパーク

九十九島(くじゅうくしま)は、象潟の風景の呼び名です。

鳥海山のふもとの田園地帯に(田植えの季節には特に)100以上の小島が浮かんでいるように見えることから、この名称で呼ばれています。

この景観は、鳥海山の火山活動によって形成されました。

今から約2500年前(紀元前466年)、鳥海山の山体崩壊(噴火などにより大規模な崩壊を起す現象)が起こりました。

この時、大量の岩と土砂が、日本海まで達したことで、入江(潟湖)の中に小島が浮ぶ、風光明媚な景観が出来ました。

江戸時代中期、1689年(元禄2年)、松尾芭蕉が「奥の細道」の旅で、象潟を訪れた時は、そんな風景でした。
芭蕉は、こんな句を残しました。

象潟や 雨に西施が ねぶの花

西施(せいし)は、中国春秋時代の悲劇の美女。
芭蕉は、象潟の景色に、美しさの中にもどこか寂しさを感じ、西施と、雨に濡れたねぶの花に重ねてこの句を詠みました。

中核施設「ねむの丘」の裏側の、芝生広場(ふれあい広場)には、この俳句にちなんで、西施の石像が設置されています。

この話しには続きがあります。
芭蕉がこの地を去った後、江戸時代後期の1804年(文化元年)、この地を、巨大な地震が襲いました(象潟大地震)。

2m以上ともいわれる土地の隆起が起こり、九十九島の一帯は、陸地になってしまいました。

この時に、現在の象潟の景観が出来上がったわけです。

景勝地を訪れたりした場合、私達は、由来を説明する文章などを読んで、そのような地形等を生み出した、ある古い特定の時代にぼんやりと思いを馳せる、ということになります。

ところが、象潟の場合は、江戸時代の松尾芭蕉の旅のおかげで、その前後の、ダイナミックな大地の変化をリアルに感じることができます。

そして、このような地質学的な価値は、現在「鳥海山・飛島ジオパーク」の認定へとつながっています。

ジオパークというのは、地質学的な意義を持つ地層や景観、それらに関わりのある人々の暮らしや文化を守り、次世代に伝えていこうという、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)のプログラムです。

ジオパークに認定されることで、観光振興の面でも、大きな効果につながるだろうと、地域から期待を寄せられる取組でもあります。

象潟は、平安時代から和歌に詠まれてきた景勝地でした。
そもそも芭蕉も、鎌倉時代の西行の旅にあこがれて、象潟までやってきました。

俳句や和歌、そして実際の大地の変化のおかげで、長い歴史を、止まった点ではなく現在へと続く、大きな流れとして実感できることが、象潟の魅力ではないか、と思います。

■夕陽百選遊歩道から「ねむの丘」へ

■「ねむの丘」と鳥海山。右「西施」像

■芝生広場の「西施」像

■「西施」像の銘板

■「西施」像

■西施も眺める鳥海山

■「にかほっと」内ジオパークPRコーナー

■「ねむの丘」6階展望塔

■展望塔から臨む鳥海山と九十九島

■田植え時期の絶景(展望塔内パネル)