♠21 御嶽山一帯を国定公園に指定(環境省)

♠となりの仕事

長野県と岐阜県にまたがる御嶽山。
独特な火山の地形や自然林の広がりに加え、古くから山岳信仰の対象となってきた文化的価値などが評価されて、2025年(令和8年)4月10日、国定公園に指定されました。

1 自然と文化が残る「御嶽山」

環境省は、御嶽山(標高3,067メートル)一帯を、国定公園(御嶽山国定公園)に指定しました。

御嶽山は、今も活動を続ける活火山の独立峰です。
過去の噴火により形成された独特な火山地形や、原生的な自然林が広がっています。

山頂周辺には、国の特別天然記念物のライチョウも生息しています。

古くから霊峰として、信仰の対象ともなっていて、多くの石仏や霊神碑(れいじんひ=御嶽信仰独特の石碑)など、独自の景観が残されています。

このような点が評価されて、国定公園の指定につながりました。

指定されたエリアは、長野県の木曽町(きそまち)と王滝村(おおたきむら)、岐阜県の高山市(たかやまし)と下呂市(げろし)にまたがる2万8,275ヘクタール。

これまで、岐阜県が『御嶽山県立自然公園』、長野県が『御岳県立公園』として、それぞれ管理していた区域をあわせた地域に、ほぼ重なっています。

そこに、新たに、下呂市にある、かつての溶岩流によって形成された渓谷である『巌立峡(がんだてきょう)』周辺のエリアを加えて、『御嶽山国定公園』となりました。

今回の指定により、県立公園の方はどうなったのかというと、それぞれの県で、同じ4月10日付けの告示により、指定を解除(県立公園としては終了)する、という措置がとられました。

御嶽山は、2014年(平成26年)の噴火で、多数の犠牲者を出した場所でもあります。

その後、地元関係者らは、もしもの時に、すぐに逃げ込めるシェルターを設置するなどして、防災対策に力を尽くしてきました。山腹全体に放送が届くような体制も整えました。

今回の国定公園の指定により、また多くの登山客が訪れて、地域が活性化するよう、地元自治体の関係者も、期待を寄せています。

2 そもそも国定公園とは

「国定公園」のほかにも、「国立公園」などの類型もあり、紛らわしいところです。

そもそも『公園』とは何か、から説明を始めるとすれば、まず、大きく『自然公園(地域性公園)』と『都市公園(営造物公園)』に分類されます。

『自然公園』は、国又は地方公共団体が(権原に関係なく)、一定の区域を指定して、土地利用の制限をかけて、自然景観を保全しようというもの。このことから『地域性公園』とも呼ばれます。

自然公園法に基づく仕組みで、所管は、環境省。

一方『都市公園』は、住民のレクリエーションや、防災時の避難場所確保などのために、行政が土地を取得して設置する、地域の中で、よく身近に見かける公園のこと。

都市公園法に基づくもので、所管は国土交通省。
自然公園の『地域性公園』に対比して、都市公園の方は『営造物公園』と呼ばれたりもします。

『自然公園』に絞って話しを進めると、類型としては三つで、それが「国立公園」と「国定公園」、さらに「都道府県立の公園」です。

国『立』公園は、国がエリアを定めて、管理も国が行う自然公園。

国『定』公園は、国がエリアを定めて、管理は、都道府県に任せる自然公園。

最後が、都道府県がエリアを定めて、管理も、都道府県が行う自然公園です。

御嶽山一帯は、県立公園から、国定公園に(平たく言えば)一段階、格上げされた、ということです。

「30by30(サーティ・バイ・サーティ)」という、国際的な議論があります。

これは、地球環境保護のために、2030年までに地球の陸と海、それぞれの30%の面積を保全することにしよう、という国際的な目標のことです。

日本も、この目標達成に向けて、国際的な約束をしています。

環境省としても、この目標達成に資するよう取組を進めていて、2022年(令和4年)に「国立・国定公園総点検事業フォローアップ」という取組を行いました。

この時点で、御嶽山一帯も、国定公園の新規指定の候補地となっていた、という流れです。

新たに誕生した「御嶽山国定公園」ですが、管理については、引き続き、岐阜県と長野県がそれぞれ担うことになります。

大きな変化がなさそうにも見えますが、両県としては、国定公園化されたことで、施設整備などの際の、国からの財源の手当が、より手厚くなるだろうと期待を寄せています。

とろろで、近年、自然公園に足を運ぶ人は減少していて、保護に重点を置きすぎなのではないか、自然に触れる魅力的な体験プランの提供などが、少し、不足してきたのではないか、といった議論もあるようです。

①「30by30」のような大きな理念と、②登山道整備などの財源確保に頭を悩ませる地元自治体、そして、③来訪者増加による経済的効果を期待する地元関係者。

この、微妙に三すくみのような関係性が、環境行政を考えるうえでは、どうしても、つきまとってくるようです。