大阪府の北東部に位置する寝屋川市。
2026年(令和8年)7月、「空き家」に関する独自の新税を導入する条例が、市議会で可決、成立しました。
1 独自の空き家税条例
今般成立したのは、「寝屋川市空き家流通促進条例」。
2029年度(令和11年度)からの課税開始を目指しています。
この新税は、自治体が、条例に基づき、独自に設ける、いわゆる法定外税です。
今後、総務大臣から同意を得る手続きが必要となります。
環境問題や、観光客の急増に対応するため、「法定外税」に取り組む自治体が、近年増えています。しかし(市内全域を対象として)「空き家税」を導入するのは、寝屋川市が全国初です。
先行する、京都市の取り組みもありますが、京都市では、市街化区域に限って、課税するものです。京都市では、2030年度(令和30年度)の課税開始に向けて、準備が進められています。
寝屋川市の新税は、賃貸用や、売却用などを除く空き家を対象に、課税します。
課税標準は、①『土地』の1平方メートルあたりの固定資産税に、空き家の住宅部分の延べ床面積をかけた額と、②『空き家』の固定資産税額の両方。
これに税率の35%をかけて税金の額、となります。
(当然、通常の固定資産税に、上乗せされます。)
寝屋川市では、空き家の流通を促すための取組である、と説明しています。
寝屋川市は、南北に約6キロメートル、東西4キロメートルのコンパクトな街で、限られた市域に約22万人が暮らしています。
大阪市のベッドタウンとして1960年代から70年代に人口が急増し、住民の高齢化も進行しました。
このため、住宅開発できる場所が、あまり無い、というような状況です。
そこで、今般の「空き家税」の取り組みにより、空き家の流通を促進して、子育て世帯を中心に、新たな住民を呼び込みたい、というのが(市長会見などで説明されている)、寝屋川市の考え方です。
2 空き家問題の状況
現在、全国で空き家が増え続けています。
「令和5年住宅・土地統計調査」(5年毎に国で実施する調査)によると、全国の空き家は過去最多の900万戸、空き家率は13.8%です。
典型的な「空き家問題」は、例えば①景観の悪化、②倒壊や防犯、災害時のリスク、或いは③コミュニティーの減退、というようなことです。
結局、全国的に共通する「空き家問題」は、空き家の周囲で生活を続けざるを得ない、近隣住民側の困りごと、というわけです。
空き家対策として、国は、固定資産税による仕組みを導入しています。
放置した空き家が『特定空き家』(倒壊のおそれがある場合など)や、『管理不全空き家』(「特定空き家」一歩手前の状況)として、自治体が指定した場合には、固定資産税が約6倍になる、という仕組みです。
そもそも、住宅用地は、特例として、固定資産税が6分の1に減額されています。
「特定空き家」や「管理不全空き家」の土地については、この特例が外れて税額が約6倍になる、というわけです(200平方メートル以下の場合)。
日本の住宅行政は、戦後の、極めて深刻な、住宅不足対策から始まった、と言われています。
戦後80年を経て、真逆のベクトルの、空き家問題が、住宅政策上の大問題となっているというのも、皮肉な話しです。
空き家問題の根本にあるのも、やはり人口減少問題です。
寝屋川市や、京都市のように、空き家対策として、法定外税という手法を選択できるのは、或いは限られた自治体だけ、かもしれません。
なぜなら、寝屋川市のように、住宅の流通(解体?)を進めた後、新たな住民が流入してくるというビジョンを描けるのは、限られた地域だけだからです。課税により、関係住民の流出が加速してしまった、という結果も、当然起こりえます。
空き家問題に、どのような対策を講じるべきか。
全国の自治体で、今後も、難しい選択が続くものと考えられます。

