茨城県の南部、牛久市(うしくし)。
全高120メートルという、桁違いに大きな、牛久大仏があります。
1 世界最大のブロンズ立像 牛久大仏
牛久大仏(正式名称:牛久阿弥陀大佛)は、事業構想から、およそ10年を経て、1992年(平成4年)12月に完成(1993年6月落慶)しました。
事業主体は、浅草にある東本願寺(正式名称は、浄土真宗東本願寺派本山東本願寺)。
世界一大きい、ブロンズ(青銅)製の仏像として、ギネス世界記録に認定されています。
立像の高さとしては、世界で6番目。圧倒的な大きさです。
日本で一番広い、関東平野にそびえていて、周りに高い建物などもないため、牛久大仏は、遙か数キロメートル先から、見えてきます。
周辺の路上から見ると、まるで特撮映画か、CGのような雰囲気です。
■畑の向こうに見えてくる大仏
■鉄塔とのスケール感に混乱
■駐車場から見上げる大仏
■入り口にはお土産物屋さん
駐車場から中に入ると、まず「仲見世」と名付けられたお土産物売り場があります。
その門前町風の通路を抜けると、チケット売り場があります。
拝観料(千円弱)を払い、庭園内へ。
「發遣門(はっけもん)」と名付けられた正門をくぐると、まっすぐ正面に牛久大仏の、雄大な姿が見えてきます。
■發遣門をくぐり園内へ
■牛久大仏正面
2 高層ビルと同じ工法で建立
これだけ巨大な建築物となると、その工法は、やはり高層ビルで用いられる手法となってきます。即ち、いわゆるカーテンウォール工法です。
全体の重量を支える鉄骨を組み上げた後に、周りに、構造体の重さを支えない壁(非耐力壁)を、ペタペタと取り付けていく、というものです。
牛久大仏の場合は、壁は青銅板ということになりますが、巨大な質量を支える必要がないため、6ミリメートル程度の厚みしかないそうです。
施工にあたったのは、橋梁建設などを得意とする、川田工業。
大仏の胎内の二階に、建設時のパネルなどが展示されていて、当時の様子を、見学することができます。
■大仏の裏側に回り込むと見えてくる入り口
■一階エントランス。一旦暗くして外界と切り替える演出
■二階の展示物
■まさに巨大ビルの建設風景
展示物を見た後、2階から、エレベーターに乗り5階(地上85メートル)まで上がる導線になっています。
5階は、「霊鷲山(りょうじゅせん)の間」と名付けられています。仏舎利(ぶっしゃり=釈迦の遺骨とされているもの)が安置されていて、参拝することができます。
また、東西南北(大仏の前後・左右)に、スリット状の小窓が設けられていて、一帯の景色を眺めることができます。
■大仏の胸のあたりにあるスリット
■地上85メートルの景色(向こうに霞ヶ浦)
■右足の親指の模型(爪の長さ1m)
■内部は完全にビル
展望室から、再びエレベーターで降りてくると、3階の「蓮華蔵世界(れんげぞうせかい)」と名付けられたスペースに出ます。ここは、約3,400体とも言われる胎内仏(小さな仏像)が安置されているお部屋です。ここで、永代読経なども受け付けています。
さらに2階に降りると、写経席が用意されていて、写経体験が出来るようになっています(別途200円〜)。
■約77席の写経席
■2階には牛久浄苑のPRコーナーも
全体120メートルのうち、立像本体は100メートル。
20メートルが台座なのですが、そのうち地上から10メートルは基壇部と呼ばれる四角い建物で、その上、10メートルは、蓮華座と呼ばれる、ハスの花をかたどった台座になっています。
2階から、この基壇部の屋上に出ることができます。
そこから、蓮華座を間近で見ることができます。
青空の下で、神々しく輝く大仏様の様子を、見上げることもできます。
■蓮華座に近付くと青銅板接合部が分かる
■真下から見上げる大仏様
胎内の見学を終え、外に出ると、小動物公園と名付けられた、ウサギやヤギなどに餌をあたえることができる、エリアに出ます。
牛久大仏の周りは、桜をはじめ、手入れの行き届いた、沢山の樹木で囲まれています。
そもそも、牛久大仏は「牛久浄苑」(うしくじょうえん)という、かつて無い、複合型の大規模な公園墓地の中に、建設されたものです。
東本願寺は、浄土真宗なわけですが、この「牛久浄苑」は、宗教不問。
つまり仏教の中の、他の宗派はもとより、他の宗教でも(無宗教でも)受け入れてくれる、ということです。ペット墓や個人墓、夫婦墓といった仕組みもあるそうです。
約37万平方メートルの広大な敷地のうち、25%(約9万㎡)を緑地にして、緑豊かな空間にしています。
地元自治体である、牛久市は、どういうスタンスか。
牛久大仏は、今や大きな観光資源になっている。また、一つの市のシンボルにもなっている、と考えているようです。
市のホームページを見ると、アイコンとして、自然に登場しています。
また、2024年(令和6年)には、牛久大仏を「うしく親善大使」に委嘱もしています。
核家族が、もはや当たり前のこととなった現在。
急速に、人口減少も進んでいます。
家族で、先祖代々のお墓を守る、という日本の風習も、過渡期にあるのかもしれません。
「墓じまい」であったり、或いは「樹木葬」というキーワードなども耳にするようになりました。
このような中、牛久浄苑は、牛久大仏という、桁違いのシンボルを中心に据えて、四季折々の緑で囲まれた、広大な墓地公園を作り上げました。
確かに、動物への餌やりなどを楽しみに、小さな子供達が、喜んで付いてきてくれるようなら、先祖のお墓参りも、家族の、楽しい思い出になるのかもしれません。
日本の墓地の在り方が、今後どうなっていくのか、考えさせられるところです。
■大仏の裏手にある動物のいる公園
■のんびり過ごす動物達

■帰りみち樹木の隙間から見上げる大仏様
