♠22 ウェルビーイング向上に向けた実証実験(三重県桑名市)

♠となりの仕事

三重県の北部、愛知県と岐阜県に接する、桑名市。
2026年(令和8年)5月、桑名市は、中部電力などと連携して、住民のウェルビーイング(幸福感)の向上に向けた、実証実験を開始しました。

1 電気使用量分析などを活用した産学官による実証実験

桑名市が連携するのは、中部電力と、名古屋大学。

電気メーターや水道テレメーターでの使用量計測に加え、参加者全員にスマートウォッチを配布して、歩数や睡眠時間を計測し、生活コストの削減や生活改善などにつなげようという取組です。

市と中部電力がデータを収集し、名古屋大学が、データ分析などにあたります。

電気・水道の使用量と、運動データを組み合わせて分析してみようというのが、独自の、面白い視点です。

実証期間は3年間。
①40歳以上、或いは、②18歳以上で一人暮らし、という条件で、市民に参加を募りました。希望した約100人の協力のもと、実施します。

桑名市としては、産学官が連携して取組を進めることで、孤独や孤立対策にもつなげたい、と考えています。

2 世界幸福度ランキング

この10年ほど、毎年公表されている「世界幸福度ランキング」。

今年(2026(令和8)年)も、3月に、オックスフォード大ウェルビーイング研究センターなどが「World Happiness Report 2026(世界幸福度報告書)」として、公表しました。

日本は、国別の幸福度ランキングで、147か国中61位でした。147か国中55位だった昨年から、順位を下げてしまいました。

この幸福度は、米国ギャラップ社の、世論調査がベースになっているのですが、各国の約1000人に「最近の自分の生活にどれくらい満足しているか」を尋ねて、0(最悪)から10(最高)の11段階で答えてもらう方式となっています。

この主観的な幸福度の、過去3年間の平均(だけ)で、国毎のランク付けがされる、という仕組みです。

もちろん「1人あたりGDP」や「健康寿命」といった客観的なデータとつきあわせて、分析がなされるわけですが、そのアンケート自体のシンプルさには、ちょっと驚かされます。

考えてみれば、世界のあらゆる人々を対象に、その「主観」を尋ねるとすれば、そんな問いの立て方こそが、合理的なのかもしれません。

実際のアンケートでは、こんな聞き方をするそうです。

『ハシゴを想像してみてください。一番上が理想の状態(10段)、一番下が最悪の生活(0)だとして、あなたは今、ハシゴのどの段に立っていますか?』

3 デジタル庁が推進する地域幸福度指標

日本でも、政府(内閣府)は、国民の満足度(Well-being)について、2019年(平成31年)2月から「満足度・生活の質に関する調査」というものを行っています。結果を、毎年公表もしています。

また、2022年(令和4年)からは、デジタル庁が「地域幸福度(Well-Being)指標」の取組を進めていて、市町村毎のデータを見ることもできます。

この「地域幸福度(Well-Being)指標」は、市民の「暮らしやすさ」と「幸福感(Well-Being)を数値化したもので、アンケートによる主観指標と、オープンデータ(健康診断受診率、小学校数、投票率など)による客観指標で構成されています。

デジタル庁では、この「地域幸福度(Well-Being)指標」を、自治体現場における、政策立案にも活用してほしいと、その普及に力を入れています。

考えてみれば、自治体の政策は、最終的には、住民の幸福度の向上を目的としているわけですから、それをモニタリングしながら、より効果の高い政策を実行しようという方向性自体は、もっともなことです。

一方で、そのようなロジック通りに、毎年、自治体の事業が成果を出せるかといえば、実際には、難しい面もあるところ。今日の地域課題の背景にあるものが、例えば「人口減少」のように、あまりにも深刻過ぎたりするためです。

現在、「地域幸福度(Well-Being)指標」の活用に取り組む自治体も、増えているようです。

データとロジックに即した取組を進め、成果に結びつく、誰しもすっきりと納得できるような、多くの成功事例の登場が、切実に、待ち望まれるところです。