♠20 旧姓の通称使用の拡大(内閣府)

♠となりの仕事

政府は、2026年(令和8年)3月13日に、今後5年間の女性政策の指針となる「第6次男女共同参画基本計画」を閣議決定しました。

1 男女共同参画基本計画

『男女共同参画基本法』は、1999年(平成11年)6月23日に、公布・施行されました。
内閣府が所管している法律です。

対等な社会の構成員として、男女ともに、様々な分野に参画する機会の確保を目指すという法律。

政治的、経済的、社会的、さらには文化的に、男女が平等に利益と責任を担う社会、そんな姿が目指されています。

この法律の第13条で、政府は、男女共同参画社会の形成に向けて、計画を定めなければならないとされています。これが、『男女共同参画基本計画』です。

第14条では、都道府県に対して、国の計画を勘案して、それぞれの区域における計画(都道府県男女共同参画計画)の、策定を求めています。

因みに、市町村計画の策定は、努力義務に止められています(第14条第3項)。

国の、最初の基本計画は、2000年(平成12年)に定められました。
その後、5年ごとに見直されてきました。

今般、2026年からの、今後の5年間の、国全体の基本計画が、決定となったのです。

2 選択的夫婦別姓の議論

今回の、第6次基本計画で、物議を醸し、度々報道で取り上げられているのは、計画の中で、旧姓使用をしている人が、今後、公的書類などに旧姓だけを記載する、いわゆる「単記」を可能にするように、法制化に向けて検討する、とした点です。

現在は、パスポートや運転免許証、或いは、マイナンバーカードなどの公的証明書に、旧姓と戸籍名の両方を、併記できるようになりました。しかし、まだ、旧姓だけ記載する、「単記」は、認められていません。

政府は、今般の第6次基本計画の中で、今後、この「単記」が可能になるように進めていく、という立場をとりました。

これがなぜ騒ぎになるのかというと、長く続いてきた議論である、いわゆる「選択的夫婦別姓」の制度導入が、また、遠のくだろうとみられているからです。

結婚時に改姓した人の「旧姓の通称使用の拡大」を進める一方で、戸籍上の「夫婦同姓」は維持しましょうという考え方なわけです。

この、「選択的夫婦別姓」の議論。
何も『夫婦の別姓』を、義務化しよう、というものではありません。

あくまでも、結婚後、同性にしたい人は同性を、別姓にしたい人は別姓を、それぞれ選べるようにしようという「選択的」な、制度です。

この制度は、法制審議会(法相の諮問機関)が、民法改正案の要綱を答申するという段階にまで進んでから、実に約30年間も、棚上げになっている、異例の展開が続いています。

国連女性差別撤廃委員会から、何度も、改善すべきだと勧告も受けています。
その理屈は、改姓の9割超が女性に偏っており、事実上「不平等」だ、というものです。

一方で、その制度改正に、慎重な立場の人達も、実際に多いと思います。

今般の政府の基本計画でも、

『戸籍制度と一体となった夫婦同氏制度の歴史を踏まえ、また家族の一体感、こどもへの影響や最善の利益を考える視点も十分に考慮し、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえ、更なる検討を進める。』

といった、慎重な記述になっています。

女性参政権から丁度、80年の、昨年(2025年)11月に、軽々と「ガラスの天井」を破って、憲政史上初の女性首相となった高市首相。

この「選択的夫婦別姓」の制度導入には、慎重な立場のようです。

日本の男女共同参画は、国際的に見て、著しく遅れていると指摘されてきました。
後年、2025年は、日本の男女共同参画にとっては、やはり大きな転換点だった、と評価されるのかどうか。

今後の展開が、注目されるところです。