♠4 「エンタメ」や「リトリート」を推進(群馬県)

♠となりの仕事

2025年(令和7年)2月に、群馬県庁が発表した、新年度の組織体制は、「新たな富の創出に向けた未来への投資」と「県民の生命と健康、暮らしを守る」との二本の柱で整理されています。

「新たな富の創出」を進めるため、「エンターテインメント・コンテン課」と「クリエイティブ人材育成室」を新設し、リトリート推進体制を強化するとしています。
珍しいカタカナの名称が並んでいます。

1 「エンターテインメント・コンテンツ課」の新設

群馬県では、2025年4月から、知事戦略部の中に「エンターテインメント・コンテンツ課」を新設しました。

県のマスコットキャラクターの「ぐんまちゃん」のブランド力を強化したり、映画のロケ地活用などの取組を進めていくための組織です。

県では、映像制作やCG、プログラミング技術などを活用する「デジタル・クリエイティブ産業」の集積も目指しています。このような流れを受け、「クリエイティブ人材育成室」という組織も、新たに設置しました。

こういった、大胆な組織名称は、トップの強い意向がないと実現しません。
近年、観光業界で注目されている「リトリート」に関する取組もそんな流れにあります。

山本知事は、群馬県をリトリートの聖地にしたい、と意気込んでいます。
新年度から、観光魅力創出課の名称を、観光リトリート推進課に変更し、さらに体制を強化しています。

「リトリート」は、仕事や日常生活から一時的に離れて、疲れた心・体を癒す旅のスタイルのことです。

群馬県は、なまじ東京に近いために、日帰り観光が多くなり、どうしても、観光消費額が少なくなってしまうという、という課題を抱えてきました。

現在、温泉や自然、農畜産物の魅力を生かして、長期滞在型の観光を推進するべく、取組を進めています。

■群馬県 草津温泉

2 自分をとりもどす「リトリート」旅

「Retreat(リトリート)」は、本来は退却や、後退という意味の単語。

そこから「静養先」「隠れ家」「避難所」さらには、世間から離れて「黙想」する、といった意味がひろがっています。

日々の仕事に追われ、自分を見失いがちな人達に、日常を離れ、自然の中で温泉につかり心と体を癒やしませんか、という「リトリート旅」の提案は、とても魅力的にうつるはずです。

ただし、観光商品として、連泊型のプランを組むということになると、どうしても、初日は、カヌー体験をします、その後どこそこに移動して○○体験をします、二日目の午前中は、何時間かけて移動して○○高原を散策します、といったスケジュールを組み上げることになってきます。

本来、それが旅行商品なのだから、しかたがないのかもしれません。

行政側としても、旅行関係業者の「富の創出」に向けた取組として、各地の観光地を巡ってお金が落ちるように組み立てていくのが当然だ、という考え方も分かります。

しかし、これだと個人が、ゆっくり自分を見つめ、自分に戻るという「リトリート」のコンセプトからは、少し、離れたものになってしまう可能性もあります。

そこで、ひとつ提案したいのが、昔ながらの「湯治」のコンセプトです。

農閑期の冬の間に、温泉で体を休めたり、或いは、怪我の治療のために、自炊しながら経費を抑えて、温泉地に長期滞在するのが「湯治」の旅。

今日、心の疲れを感じる現代人は、とても多くなっています。

例えば一週間位、心の治療として、(出来れば自炊しながら)決められたサイクルで毎日、温泉につかり、体と心を癒やすようなプランがあったら、興味を示す人は多いのではないかと思います。

或いは、社員のメンタルヘルス対策に悩んでいる、企業が反応するかもしれません。

「リトリート旅」は、そんな切実で、今日的な問題を抱える、一定の人達からも、強く求められていると思います。