愛媛県の少子化対策・男女参画課が、夫婦間の家事の問題をとりまとめた冊子「家事シェアスタイルブック」を発行しました。
家事をめぐる夫婦間のすれ違いは、多くの家庭が抱える悩みだと思います。
取り上げられている身につまされる場面に、そうそう、あるある、と共感が集まっています。
1 名もなき家事とは
冊子の中では、いかにもありそうな、幾つかのシチュエーションと、その対処法、考え方が紹介されています。
目次には、こんな見出しが並びます。
「夕食の献立、毎日考えるのが苦痛」
「買い物を頼むと想定外のものを買ってくる」
「気付いた方が掃除、と言いながら、結局自分だけがしている」
「緊急時のお迎えは私ばかり」
「義両親の介護を期待されても困るんだけど」
夫婦のお互いの心の声を、それぞれ代弁してくれている、こんなページもあります。
夫の言い分「せっかく洗濯ものを干したのに、ダメ出しばかり。」
妻の言い分「これじゃ二度手間。干すならシワを伸ばしてほしい・・・」
妻の言い分「出費を抑えて、栄養も考えて。献立を毎日考えるの、疲れるのなぁ。」
夫の言い分「簡単でいいと言えば、簡単なものなんてないと言うし、具体的に言うと、材料が無いと言うし、一体どう声をかければいいの?」
「名もなき家事」に関する、コラムもあります。
調理、洗濯、掃除などの名前のある家事は、その合間にある、「名もなき家事」をこなすことでようやくまわっています。
付録の、家事シェアチェックリストには、料理編、育児編などと並んで、「名もなき家事」編もあります。こんな項目が並んでいます。
「お金を管理する」
「郵便物を仕分けする」
「脱ぎっぱなしの服を片付ける」
「玄関で脱ぎっぱなしの靴を下駄箱へ入れる」
「トイレットペーパーやテッシュを交換する」
「ペットボトルや空き缶を洗ってゴミ箱へ入れる」
現在、それぞれの自治体のルールに従って、ペットボトルや空き缶などを、仕分けしてゴミに出すのも、少し、大変な作業になっています。
考えてみれば、「名もなき家事」というのは、例えば、一人暮らしの人であったなら、少し面倒だなと感じる、暮らしの中の、ちょっとした作業のこと、かもしれません。
きっと、実家にいるときは、全部、お母さん任せだった作業のこと・・・なのだと、思います。

■愛媛県発行「家事シェアスタイルブック」
2 家事シェア推進キャンペーン
愛媛県では、今年度(2025年)7月から、家事シェア推進キャンペーンを実施しています。
専用Webフォームで、家事の見直しを行った、県内の家庭を対象に、抽選で家事グッズをプレゼントする、というような取組です。
女性に偏ってきた、家事・育児の負担を見直そうという事業は、現在、全国各地の自治体で、様々な形で進められています。
これは、伝統的には、「男女共同参画」という人権問題の視点からの取組。
しかし、現在は、人口減少という深刻な状況の中で、光が当たり、国の予算なども獲得しやすくなっています。
何とかなるものなら、是非とも何とかしたい、人口減少問題。
もちろん、女性にだけ、ケア労働の負担が集中し過ぎてきた、という問題は、それはそれで、是正すべき課題です。
しかし、男性の育児参加を促進する、という事業だけで、人口減少に歯止めをかけられるか、と問われれば、それはもちろん難しいところ。
そこで、行政の手法としては、本質的な事業目的につながるように、複数の事業を組み合わせて、プロジェクトの形で、取組を進めることが一般的です。
愛媛県でも、「仕事も、暮らしも、スクラムを組んで助け合おう!」というかけ声のもと、「家事・育児みんなでシェア えひめスクラムプロジェクト」として、そもそもの子育ての楽しさや、喜びを伝えるような視点も含めて、総合的に、多くの事業を推進しています。
こういった取組が実を結んで、日本全体で、人口減少のインパクトが、どうにか緩やかになっていくとを願ってやみません。