♠6 子ども食堂が100か所を突破(和歌山県こども未来課)

♠となりの仕事

子どもたちが食事の提供を受けられる場所というだけでなく、地域の交流拠点としても期待されている「子ども食堂」。

和歌山県は、2024年12月、県内の「子ども食堂」が100カ所を超えたと発表しました。
「子ども食堂」は、岸本周平知事の肝いり施策。
知事は「1小学校区に一つは置きたい」と今後も取り組みを進める考えを示しています。

1 「子ども食堂」とは

子ども食堂は、地域の大人が、子どもに無料(或いは安価)で食事を提供する、民間発の取り組み。
貧困家庭や、孤食になりがちな子どもに、食事と、安心して過ごせる場所を提供しようと始まったものです。

このような活動自体は古くからあったようですが、「子ども食堂」という名前が使われ始めたのは、2012年のこと。その後、NHKの情報番組で取り上げられたことなどをきっかけにして、全国的に広がっていきました。

最近では、地域のすべての子どもや親、或いは一定の大人など、対象を限定しない取組も増えています。
食堂という名称を使わずに、子どもが放課後に自宅以外で過ごす居場所の延長として食事も出す、という形態も増えているようです。

2 経緯と今後の展開

和歌山県のこども未来課によると、岸本知事が就任した直後の2022年度末で50か所だったものが、2023年度末で71か所へ。その後、2024年12月で101か所までになったとのこと。

和歌山県では、2023年9月に、子ども食堂の施策を推進するワーキングチームを発足。
その後、2024年1月に、県内市町村長を対象にしたトップセミナーを開催。同年4月には県社会福祉協議会を事務局とした「和歌山県こども食堂応援ネットワーク」を設立するとともに、県内の全ての振興局に担当窓口を設置し、地域密着型の推進体制を強化したそうです。

和歌山県ではシンポジウムを開くなど広報や啓発に力を入れるとともに、経費への補助にも取り組んでいます。

岸本知事は定例会見で、地域の人が多世代で集まる場を作ってもらうことが狙い、とも述べています。

「子ども食堂」は、多くの人がコンセプトをイメージしやすい、大変、優れた名称です。
そのため、マスメディアとも相性が良く、全国的に広がりを見せました。

しかし、実際には、様々な理念が混在している取組でもあります。

近年は、例えば貧困施策であると決めつけられないように、敢えて「子ども食堂」という呼び方を避けている、という場合もあるようです。

「小さな子どもが、夜、お腹をすかせていては可愛そう。」
この気持ち自体は、きっと多くの大人に共通する感情だと思います。

しかし、自治体行政との距離感は、考えてみると微妙なところでもあります。

行政が本格的に関わるとしたら、利用者の平等性や公平性ということが気になるところ。

そもそも「子ども食堂」は、例えば、保育園や放課後児童クラブなどのような、現代においては、必須となっている施設の仲間なのか。それとも、民間の自由な活動に任せておくべき、住民の幸福にとっては、プラスアルファの取組なのか・・・

「子ども食堂」の今後の展開については、このサイトでも全国の事例など、引き続き、研究していきたいと思っています。